法話:子どもとの関わりの中で

子どもとの関わりの中で
恵林寺 釋尼妙真(荒山眞喜子)

トワイライトスクール(放課後に学校の空き教室を活用し子どもの自主性・社会性・創造性を育む事業)の手伝いに行くと、常に友達とトラブルを起こしてしまう子たちがいる。本人はいたく本気で、何人かと遊んでいるうちに、勝手なルールを言い出したり、唐突な行動を取り始め、次第に友達を怒らせてしまう。損得や勝ち負けのこだわりも強く、自分の言い分を何としても通そうと興奮し始める頃には友達はあきれて、その場から居なくなっている。

「相手の気持ちを考えてごらん」といっても、「?」ポカンとした表情。他者への共感力が弱く、いわゆる発達障がいといわれている子たちである。脳の一部の機能が、年齢に対して未発達であることが原因といわれている。

この子たちは世界にしめる自分の割合が大きく「僕が、僕が」と言い出し、周りの言葉は、ほとんど耳に入らない。しかし、そのあと待っているのは一人遊びの孤独だ。

私たちは、狭い日常の中で生きていると、自分の存在を絶対的なものと勘違いしがちである。たとえば、旅に出たりして自然の偉大さに触れ、自分の存在の小ささに気づくとき、この手の中に大事に握りしめ放そうとしない自我への執着が、たいしたものではなかったと思い知らされる。原因を他者のせいにしたとしても、自分の問題だと捉え直すことがなければ、決して我が身の課題となることはない。

中には、専門家のカウンセリングをうけ、他者との関わり方を練習している子もいる。他者と関わることがいかに難しくとも、自分を明らかにしなければ人間を生きることは出来ないと心深くで感知しているようである。「一人はまずい」と。