法話:「お坊さん」
「お坊さん」 聖徳寺 釋 暁顕(小笠原暁) |
私は、職業は何ですか?と聞かれたらどう答えたら判り易く理解して頂けるか悩むときがあります。ある方が、「坊さん」「お寺さん」「僧侶」「住職」「ご院主」等々、色々な言い方で発言されたことを思い出しました。
各宗派によって違いは有りますが、真宗大谷派では、親鸞聖人が得度をされたのが9歳でしたので、(本山では、毎年8月に百人以上の小学生が受けられ京都の風物詩になっています)9歳を過ぎてから得度式が受けられます。
私は、18歳の時に得度式を受けました。その時、「僧侶」になった実感がありました。前日に剃髪といって、剃刀で頭皮の髪がひっかからないようにします。そして御影堂の中で、電気もつけず式を受けます。其の時から衣をまとって僧侶になり命尽きるまで続けることと成ります。10年後にその得度式に自分がたずさわる立場になるとは、思ってもいませんでした。それから30年後の現在もその職にたずさわっています。其の式ごとに自分が、受けた新鮮な気持ちに帰れることが、これからの人生の中でも生かされていくとおもいます。
次に、寺院を運営するには、その代表に成る為に修練を受け、資格を取り任命を受け、役職として「住職」となります。当然ですが、お寺の全責任を持つわけですので、これからの時代いろいろと大変な事となると思います。今までの寺の歴史・檀家さんとの接し方・宗派との関わり方・時代との関わり方と多岐にわたって資質が求められます。
もしも住職を引退する時は、七條という衣が重く感じた時だそうです。前住職へと退き次世代へ受け渡しをします。ここでやっと人生のひとつの荷物を降ろすことと成りますが一生「僧侶」には変わりが無いのです。私は、何時までも親しく「お坊さん」と呼ばれたいのです。