教心寺帰敬式
2017年6月28日、教心寺さんにおいて第10回帰敬式が執り行われました。
今回は3名の受式者がありました。また、過去の受式者のうち7名も同席されました。
午前11時に、掛役(一心寺住職の前田さん)の開会の辞をうけて、真宗宗歌斉唱・三帰依文唱和・剃刀の儀・執行の辞・法名伝達・誓いの辞・勤行・法話・恩徳讃斉唱・閉会の辞、と型通りに進行していきましたが、みなさん緊張した面持ちでした。住職法話では、特に「帰依」ということの意義について話されました。
終了後のお斎では、みなさんの緊張もほぐれ、話に花が咲きました。
住職へインタビュー
Q:今回で10回目ということですが、毎年執行されているのですね。
A:第1回は2008年6月28日でした。毎年この日を帰敬式の日と決めています。これは私の住職就任式の日でもありました。2007年12月13日に住職を拝命した時、「半年後に就任式にあわせて帰敬式をする」と決心したのです。第1回では10人の受式者が誕生しました。それ以来、年によって変動がありますが、延べ48人が教心寺で受式し、他に本山あるいは別院での受式をあわせると63人の受式者となります。
Q:みなさん、法名を生前に授与されることに抵抗感のようなものはなかったのですか。
A:はじめはありました。ただ、毎年やっているので、それは少しずつ薄らいできたような気もします。
Q:延べ63人というとかなりの数ですね。
A:ただ、「法名授与」ということがどうしても先行、というか自己目的化してしまって、中には「いざというときに、子どもに迷惑かけんように名前だけでも先にもらっておきたい」という、いわば終活的な動機で申し込まれる方も多いのです。「帰敬式は死ぬための準備ではありませんよ」とは説明しているのですが。
Q:事前に説明とか講座のようなことをなさるのですか。
A:当初はビデオを上映していましたが、最近は「講習会」として座学形式でやっています。「釈尊の生涯」「釈尊の教え」「浄土真宗」の3講座を1時間ずつ、午後の半日をかけます。聞くのもなかなか大変ですけど、私も疲れます(笑)。
Q:法話の中で「法名は仏様の願い」とおっしゃっていましたが。
A:法名を考えるのは私ですけど、基本的に聖教から文字を採っているので、その意味では「仏様の願い」です。法名紙とともに、法名の由来や聖教の意味などを書き込んだ「説明書」みたいなのをお渡ししています。
Q:御住職として、帰敬式にかける思いとはどういうものでしょうか。
A:私は、これが最初の一歩だと位置づけています。聞法のなかでだんだんと門徒としての自覚が高まってくるということはあると思いますが、それはどこまでいっても完成されることのない道でしょう。お寺が道場だとすれば - 道場とは今で言う学校ですね - 、帰敬式は卒業式ではなく入学式。ここから始まる、ということです。外国の大学と同じで、入学は簡単です。その後をどうするか、ということを、正直いうとあまり考えてきませんでした。今日みたいに、受式が済んでももう一度帰敬式に参加していただくように案内をすすめていきたいと思っています。
なお、教心寺さんの第2回帰敬式のうち、剃刀の儀のもようの動画がこちらにあります。