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第3期人権学習会の報告(2007年11月から2008年5月まで)

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第1回

  • 日時:2007年11月21日(水) 16:00~20:30
  • 会場:名古屋教務所2階講義室
  • 講師:雨森慶為氏(真宗大谷派解放運動推進本部)
    差別法名・過去帳の取り扱いについて雨森慶為氏より講義をいただく。
  • 講義の内容:本来、仏弟子としての名乗りであるはずの法名が人を差別する名として用いられる背景、また過去帳の記載事項が結婚や就職といった人生の節目において差別目的で利用されてきた事実から、我々寺族のもつ認識の甘さを改めて確認するものとなった。

第2回

  • 日時:2008年1月19日(土) 17:00~20:30
  • 会場:昭和区 法光寺
  • 参加者:15人
  • 学習テーマ: 「人権に学ぶ」-タイ女性の救援活動を通して
  • 講師:杉浦 明道師(仏教者国際連帯会議・日本会議メンバー、真宗大谷派教育部青少幼年センター準備室スタッフ、岡崎教区明勝寺住職)
  • 講義の内容

    20年に渡り、日本で、人権を著しく侵害され強制的に働かされてきた女性の救援に、献身的・精力的に尽力されている杉浦氏から、活動の内容や、苦しみから逃げ出すためにタイ女性が起こしてしまった事件等について学んだ。具体的には、どのようにタイ女性が「人身売買」されるのか、どのような労働を強いられているのか、地獄から抜け出すために彼女たちがやむを得ず選んでしまった方法とはどのようなものか、それらの女性たちの前に立ちはだかる法律や司法の壁はどの程度か、また、女性たちを救出する手だてや保護の様子、など、現代日本の表面に出てこない裏側の面というべき恐ろしい実態について赤裸々な実例を聞くことができた。
    参加者にとって、人権を著しく侵害され続けているタイの女性たちに、仏教ととして何ができるか、また、僧侶として何ができるかということを深く考えさせられる講義となった。

第3回

さる3月12、13の両日30組人権研修の一環として、現地一泊研修が行なわれた。(といっても、これは教区の研修に相乗りの形でおこなわれたもの)

現地学習の様子
山本義彦氏の話を聞く参加者

当日、教務所をバスで出発した一行は一路大阪へ。まず、浅香地区に到着して、解放同盟浅香支部顧問の山本義彦さんの出迎えを受け、地区の解放運動の歩みと現状について講義を受けたあと、地区内の見学に移った。かつては堤防の下河川敷の中に家が密集し、毎年のように洪水の被害にさらされていたという。今はその面影はなく、鉄筋のマンション群の中に、学校、デイサービス、診療所、人権文化センター、障害者の授産施設、アジアからの留学生の受け入れ研修施設などが立ち並んでいる。

山本さんの言葉によれば「地区が整備されるだけではダメ。まず人間第一、生活のにおいがする、懐かしい町のにおいがする。老若男女、在日の人も、アジアの若者も対等に付き合える。みんなが主人公である町を作りたい。疲れた人がここに来て、休み勇気を取り戻して自分の持ち場に帰っていけるような、とまり木のような町でありたい」というヴィジョンがうなづける町のたたずまいでした。ここでの目下の問題は、地区の真ん中の市有地が最近売却され、地区の意思と無関係に民間建売住宅が建てられていることで、ここに入居してくる人々とどう関係を結んでゆくのかが問題になっているとのこと。

その後、地区内の本派教圓寺により住職の北岡師より、お話を伺いました。北岡師はぼやき節口調で「門徒さんに解放同盟の人がいるとかないませんな、なにかというと『ゴエンさん、親鸞聖人はそういうことを言われましたかな?』とかいわはるんで」といいながら、お寺の歩み、お寺や教団の抱える差別体質について語ってくださいました。

翌日は、人権啓発のため資料館「リバティー大阪」を見学。前にも来た人に言わせると、「以前の展示の方がよかった」そうですが、なかなか充実した内容でした。

総括

3年間人権研修というかたちで部落差別問題、ハンセン病等について学習を重ねてきた。それぞれ現地研修も実施することで今まで知りえなかったことに触れ、分かったつもりになっていたことが決してそうではなかったと認識させられた。身近にありながら蓋をし、目を向けることのなかった問題の多さに気付かされる。社会問題として差別をなくそうとすることと、起きてしまった問題を風化させてしまうこととは違う。3年間の学習をもって完結することなく、研修の中で浮き彫りにされた我々の差別体質に向き合い今後の課題を確認していきたい。