法話:新年に何を願いましたか?

新年に何を願いましたか?
稱名寺 釋 覚道(仲尾覚)

毎年お正月を迎えると神社仏閣等は初詣の人でにぎわいます。このあたりでは東別院に参詣した後、熱田神宮に行くのが“通”によるお決まりのコースなのだとか(笑)。納得のいく一年を送れなかったので今年こそはと意気込む方、何もかも思い通りにうまくいっているので今年も変わらずにと願う方。ほかにも家内安全、無病息災、「パワースポット」なので試しに行ってみる、など参拝者の思いは様々です。

一見、日本人にとって馴染み深い当たり前の光景ですが、その根底にある共通するものは「不安や不満を解消したい」といったものではないでしょうか。不安に押されて、すがる思いで足を運ぶ方もいることでしょう。

親鸞聖人の明らかにされた「南無阿弥陀仏」の教えは自分の思いを満たすためのものではなく、不満や不安を抱える我が身こそ、かけがえのない自分であることを知らせるものです。ありのままの自分に立ち返ることが願われているのです。新年を迎え、初めてお寺を訪れた皆さんは何を思い掌を合わせられたのでしょうか。

(名古屋御坊新聞2011年1月号より転載)