学ぶ・考える

質問への回答

仏さまは私たちにとってほんとうに必要でしょうか。

この問いは、宗教が人間にとって必要なのか、という問いにもなります。多種多様な宗教がある中で、本当に自分にあった宗教を見つけるのはたいへんなことです。いっぽう、無関心な人は、「宗教は必要ない」と考えるかも知れません。

困った時の神頼み、といいますが、人間は勝手なもので、幸せに暮らしている時は無関心なのに、悪いことや不幸が重なったり、病気治癒、受験...のような時には宗教を求めます。しかし仏教の仏さまは、人間の欲望・祈願をかなえてくれる存在ではありません。

とかく人間は欲の満足を求めて生きています。ただ、欲も過ぎると自分自身を破滅させてしまいます。また、欲ばかりの生活はその人自身の人生をむなしく終わらせてしまいます。仏さまはそんな人間に対して慈悲をかけ、堕落から救い、ほんとうの幸せを教えて下さる存在です。

ですから、自分の人生をほんとうに充実させたいならば、仏さまは必要です。仏さまも、私たち(衆生)が堕落し苦しんでいるのを見捨てられないのです。私たちは、欲の追求の中で、自分自身を忘れ、欲の海でおぼれかけています。欲の海に沈む前に、仏さまとの御縁をいただき、仏さまの教えという薬を飲み、人間に生まれてきたことの意義を求めるべきです。

合掌
回答者:正福寺 釋 元雄(成瀬元)