質問への回答
お勤めのときは何を読んだらいいの?
みなさんはお内仏(仏壇)の前に座った時、どんなお勤めをしますか?阿弥陀経を読む方、正信偈をお勤めされる方、まさかの般若心経?三部経(仏説無量寿経・仏説観無量寿経・仏説阿弥陀経)を読むというツワモノもいらっしゃるかもしれませんね(笑)。中にはお鈴を叩いて合掌するという方も…。
最近仏事に携わるようになった方からは
「お勤めのときは何を読んだらいいの?」
と質問される機会が増えました。
「般若心経なら短いから覚えやすそうなんだけど…。それにどんな宗旨にも使えるって聞いたんだけど。」
なんて声も耳にします。浄土真宗で拠り所としている経典は浄土三部経になりますので、そこには般若心経は含まれません。
真宗では正信偈を朝晩お勤めすることを門徒の生活として勧めてきました。正信偈は親鸞聖人がその著書である『教行信証』の中に記されたもので、お釈迦様をはじめとして仏教の伝統を保ってこられた7人の高僧により、自らのもとに仏法が届いたことを慶びうたったものです。
仏前にお経をあげることはご先祖にその功徳を振り向ける(追善供養)といった意味や、阿弥陀様にご利益を求め懇願するものではありません。私の生まれるずっと前から仏法に出遇っていかれた多くの先輩やご先祖様がいらっしゃいます。そんな人たちの教化をいただくことで今ある自分自身に出遇い、生きる意味を見出していくことに他なりません。ですから私たちの口から出るお念仏はどこまでもそのご恩に報いるものとなるのです。
私たちは日常の忙しさから、つい楽な方へ、簡単な方へと生活を変えてきました。仏事までもが煩わしいものと受け止められ、簡略化がすすめられるようになっているようです。しかしお内仏に向き合い、自分が一体何を大事にして生きているのかを丁寧に確かめることが、自分自身を大切に生きるということにつながるように思います。だからこそどんなに忙しい時でもご本尊(阿弥陀如来)に向き合い、正信偈をお勤めすることを欠かさないようにしたいものです。
般若心経のように短くても覚えやすいものをきっちりと勤め上げようと願うのは大変尊いことだと思います。それならば真宗の勤行作法を学ばれてはいかがでしょうか。月忌法要のお勤めを正信偈にして一緒にお勤めするようにお手継ぎの住職さんに相談してみてはどうでしょう。きっと快く引き受けてくれると思いますよ。