学ぶ・考える

人権を考える

名古屋教区第30組
第5回「人権問題」学習

「にんげんの街」を目指して

浅香地区まちづくり協議会会長 山本義彦

はじめに

2002年3月末を以て、同和問題に関わって特別に設置された法は全てその役目を終えた。この時点を起点として、新たに真の同和行政が始まった。
嘗て一般法の中で差別を温存し続けてきた轍を再び踏むことなく、創意工夫を重ねて、行政の強い意志で人権を守り抜く施策が求められている。

1. 「にんげんの街」構想に至るまで・・・「部落解放浅香地区総合計画実行委員会」結成

隣の部落の運動に学び、住民は要求者組合を結成して住宅要求運動を進めた。
しかし、市の住宅建設事業は、結果的に町内住民を二分してしまった。
運動を進める側は、実態調査による根拠として苦心の末に住民の団結を取り戻し、「部落解放浅香地区総合計画実行委員会」を結成して統一要求を作成した。それを元に市と話し合い、「街づくり」のマスタープランに合意した。

2. 「にんげんの街」に向かって・・・「地下鉄車庫跡地利用街づくり推進協議会」の結成

私たちの願いは全ての人々の幸せにつながり、生活改善要求は周辺の人々や働く人々の願いと重なるべきだ。私たちの「街づくり」は、私たちの考えだけで進められるものでも部落だけのものであってもならず、全ての人が大切にされる「街づくり」であるべきだ。この考えの元、周辺住民とともに、「地下鉄車庫跡地利用街づくり推進協議会」を結成し、共に歩む取り組みが始まった。

3. 形の整ってきた「にんげんの街」・・・現状と見えてきた新しい課題

街の姿に如実に見られていた被差別の実体はすっかり姿を変え、「にんげんの街」の外形は整ってきた。しかし、私たちの願ってきた豊かで生き生きとした「にんげんの街」にしていくためにはまだ課題が山積している。

4. 明日の「にんげんの街」に向かって・・・住民の主体性と行政の役割

「にんげんの街」作りは継続の活動である。人間を大切にし、大切にされる考え方をいつまでも住民が受け継ぎ、深化していく動きを作り続けていかなければならない。そのためには、住民の主体性とこの活動の意味を理解し積極的に支える行政の動きが必要である。

おわりに

「にんげんの街」は浅香地区にだけできればよいものではない。どの村もどの町も人間が大切にされる邑や街でなければならない。今後の同和行政は一般法を使って行われることになるが、行政の主体的な方針こそが問題となる。