人権を考える
名古屋教区第30組
第3回「人権問題」学習
部落解放同盟甚目寺支部での現況
私たちの部落は、栄地区といい、東を流れる五条川に沿って南北に長い部落です。面積69,000坪、世帯数約704戸、人口約1,590人ほどで、産業は食肉、比較、レンダリング産業、金属回収などです。
以前は、東西に抜ける県道のみで、他に道らしい道はなく、消防車も入れない状態で、また一度大雨が降ると村全体が冠水するという劣悪な環境でした。
生活用水も、飲み水に適さない簡易水道のみで、住民に内臓疾患が多く見られました。これも長い間の部落差別の結果です。
1975年支部結成以来、兄弟支部の支援を受け、度重なる行政交渉の結果、1980年より住環境整備が行われましたが、行政主導によって地区の中を小集落改良事業と地方改善事業とに線引きをされ、事業から外された地域もあります。
小集落は全面買収のため、一定程度の成果が見られましたが、完全とは言えませんでした。
当初私どもは住宅建設用地を地区外に求めましたが、周辺住民の反対に遭い、また行政も努力を惜しんだ結果、買収が出来なかった経緯がございます。
若い人たちが結婚しても、同居が出来る住宅ではないために、また空き地を使い果たしたために、地区外に出て行かなければなりません。その結果、地区住民の高齢化が進んでいます。
次は地方改善事業ですが、道路のみを拡張する事業であり、道路部分のみの買収であります。その上、住宅の対応はありません。
元々細い道いっぱいに家が建ち込んでいて、家屋に拡張道路が食い込み形になり、生活が出来ない状態になります。その上先ほども申しましたが、住宅の対応がなく、住民は協力したくてもできない有り様です。
部落の中にまた、部落差別を作ったも同然です。そんなところにも差別行政が隠されています。そして今もなお、各地で差別事件が起きています。
水平社宣言は「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と結んであります。
私たちは、皆さまの御力をお借りして、共に闘い、あらゆる差別を撤廃し、先人達がめざした人権社会の確立を願っております。
皆様の御理解と一層の御支援をお願いいたします。
甚目寺支部の闘いの足跡と成果
- 部落の面積
- 約227,700m2(約69,000坪)
- 人口
- 1,590人 704世帯
- 支部結成
- 1975年10月19日
- 簡易水道から上水道水に替わる。(1977)
地区外では既に上水道水に替わっていた。 - 五条保育園建設(1977)同和加配2名
- 火葬場の建設(1977)
- 公園整備(1977)
- 護岸工事(対岸堤防より低かった)(1977)
- 下水排水ポンプ場の建設(1980)
- 老人福祉センター建設(1980)
- 地区環境整備(1980~)
小集落改良事業・地方改善事業 - 同和教育の推進
- 「人権尊重の町」宣言の獲得
差別問題においては就職差別、結婚差別、職場での差別によって退職など、今なお厳しい差別事象があります。