法話:光と壁―命と平和―
光と壁―命と平和― 法雲寺 釋 清章(鈴置清章) |
NHKの番組の中で、子どもが言っていました。国や宗教が無かったらいいのにと、イギリスの歌手グループ、ビートルズは、イマジンという歌の中で同じようなことを歌っています。最近のニュースの中で、国と国、宗教、歴史問題、主義、人種、部族といった壁ができ、毎日のように争いがたえません。また、日本でも、富裕層、貧困層、勝組、負組といった格差社会が生まれ、おごりと疎外感という壁がでてきています。また人間関係においても気にいらない人だとか、いやな奴だといった心の壁がでてきます。いたずらに年を取るとともに、子どもの頃の純心さを失い独善と我執の壁を堅固に高くしていきます。
作家の村上春樹は「壁に向かって、卵を投げつければ割れる。壁がなければ相手は柔らかく受け取ってくれる」と言っています。
親鸞聖人は、正信偈の中で、阿弥陀仏の一切の徳を十二光として讃えられています。その中に、無碍無対光炎王と説かれています。
「無碍」とは有形の山川や、雲霧などにさえぎられず、また無形の精神上の一切善悪にさえぎられない光ということです。つまり、いかなる所にもゆきわたり、いかなる心の壁もうち破る光。
「無対」とは一切のものに対比するものがない勝れた光。
「光炎王」とは、煩悩を焼きつくす光の王であると説かれています。
今、我々は絶対他力の光が壁を取り払い、「命」(生かされている命)を喜び、「知足」(たること知り)、「利他」(他を思いやり)、「共生」(共に生き)、「浄土」(平等で平和な社会)を願いましょう。