学ぶ・考える

法話:あなたの答は見つかりましたか

あなたの答は見つかりましたか
明岸寺 釋 嘉章(伊藤嘉章)

インターネットでは、宗教団体のホームページが無数にあります。

あなたは、悩みや問題を抱えていて、その解決の手がかりのために、いろいろなサイトを巡ってこられたのでしょうか? そしてたまたまこのサイトにたどり着いたのでしょうか? 今までに訪問されたサイトで、あなたの悩みは解決されましたか?

「そうか、これが答か!」と目の覚めるような感動を覚えることなく、「ふーん」という感想しか持てなかったのであれば、それがどんなに立派な宗教であっても、あなたにとっての答にはなりません。ある人にとっては間違いのない言葉であっても、それが別のある人にとっても同じとはかぎりません。

どの宗教にも、特別なキーワードがあります。例えば『念仏』。このような言葉は、宗教の外側に立っている人にとっては、理解されず受け入れられないのが普通です。自分のことで悩んでいるのに、自分とは無縁の言葉が通用しないのは当然です。

だから、あなたの悩みを解決できるとしたら、それはあなた自身しかありません。他人があなたの世界に介入して解決の方法を伝えようとしても、それを受け入れることはできないはずです。

では、あなた自身によって解決するということを考えてみましょう。

まず、あなたの悩みの根元には、必ずあなたの弱さがあります。悩みの原因が他人にあるとしても、それを無視できないというのは弱さです。無視できれば悩むことはないでしょうに。しかし、他人を、周りの世界を無視できないという弱さは、同時に、あなたの思いやりや優しさでもあります。その優しさは、あなたが生まれた時からあるもので、これからもずっと消えることはありません。そんな優しさを持ち続けていることは、あなたの最大の強さです。あなたは弱くて優しいけれども、本当は自分が思っている以上に強いのです。

しかし、そんな自分の強さ・弱さを含めて、自分だけが特別だと思うのはやめましょう。みんな同じように弱いのかも知れません。そして、同じように優しくて強いのかも知れません。

あなたにとって必要なことは、自分の外の壁を壊す前に、「自分だけが」という自分自身の中の壁を崩すことです。あなたに優しさや強さがあるのは、あなたを支えてくれる大きな力があるからです。どんな時にも見捨てない大きな力があって、みんな同じように、もちろんあなたも包まれています。

この大きな力は、それぞれの宗教でいろいろな名前をつけています。大事なことは、その名前よりも、自分を支えてくれる力があるのだと知ることです。それをしっかりと感じ取ってから、ホームページを訪問するなり、いろいろな人のアドバイスを聞いてみて下さい。きっと、今まで気づかなかった自分に会えるはずです。


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