法話:よろこびまもりたまふなり
よろこびまもりたまふなり 晃照寺 釋 功信(八神功信) |
「ご院さん(お寺さん)、私、この歌好きだわ。」
と、あるご門徒よりいわれました。
私のお墓の前で泣かないで下さい。そこに私はいません・・・千の風になって・・・あなたを見守る(「千の風になって」)
実はこの歌と同じ様なことを親鸞聖人はご和讃の中で讃えられています。
南無阿弥陀仏をとなふれば
十方無量の諸仏は
百重千重囲繞して
よろこびまもりたまふなり
(「浄土和讃」東本願寺真宗聖典P.488)
亡くなられた方は、お骨はお墓に納めても、お墓の中にいるわけではないのです。命が終わったら何処へ行くのか、お念仏いただいた者は命が終わったら、阿弥陀様のみもとに生まれ仏となり、幾重にも取り巻いて私達を喜び護っていてくださると聖人はおっしゃっています。生き別れ死に別れを言う場合に
「死んだら二度と娑婆(この世)には還って来られない。」
とつい口にしますが、厳密にはそうではないようです。親鸞聖人は亡くなられた方が阿弥陀様のみもと(お浄土)へ往き、仏となって私達を護ろうと還って来る姿をご和讃に讃えられています。
願土にいたればすみやかに
無上涅槃を証してぞ
すなわち大悲をおこすなり
これを回向となづけたり
(「高僧和讃」東本願寺真宗聖典P.491)
命が終わり次第、お浄土に生まれた後、迷える私達を救わずにはおれないので、お浄土から還って来るとおっしゃっています。
いい歌だなぁと心地よく思えるのは、目には見えない沢山の仏様に護られていることに、知らず知らずのうちにきづかせてもらっているからかもしれません。