学ぶ・考える

法話:目の高さ

目の高さ
昭和寺 釋 良弘(山田良弘)

皆様のお宅にはお仏壇があると思います。お仏壇の一番奥正面に阿弥陀如来の絵像が掛けられていて、向かって右には宗祖・親鸞聖人の絵像が掛けられ、向かって左には本願寺第八代宗主・蓮如上人が掛けられていると思います。「ぱっ」と見ただけでは分かりづらいのですが、よく見ていただくと阿弥陀如来・親鸞聖人・蓮如上人の順番で、目の高さに違いがあることに気づかれるでしょう。日々のお給仕の際、いちいち目の高さを気にされることは無いと思いますが、年に一度ぐらいは目の高さを気にされてはいかがでしょうか?

上に書きました、「目の高さ」というものは、知らなければ知らないで過ぎていくことですが、知ってしまうと気になってしまうものの一つかも知れません。

名古屋・東京・大阪など人通りの多い場所で、煙草を吸いますと即金で過料という名の罰金が科せられます。このルールができたきっかけのひとつに、「煙草を持った手を下におろすと子どもの目の高さとほぼいっしょになり、ひじょうに危険だ」ということからでした。わたしも煙草を吸います。人通りの多い場所で煙草を片手に歩いたこともあります。その時は、「吸いたい」という欲求が先にたち、「気をつければ大丈夫」という何の根拠もない自信があったのでしょう。

今の時代、事件や揉め事に巻き込まれると、すぐ刃物を持ち出したり火をつけたりということになります。こういったことになることの一つに、相手の視線があるのでしょう。しかし、それよりも相手の目の高さに合わせることが重要なのではないでしょうか。

相手の目の高さに合わせること、相手は自分の目の高さとどれほど違うのかを気にしてみてください。きっと、阿弥陀如来・親鸞聖人・蓮如上人の目の高さが違う理由がみえてくるでしょう。


←前月の法話を読む→次月の法話を読む↑法話目次へ