学ぶ・考える

法話:「念仏」してますか?

「念仏」してますか?
一心寺 釋 健雄(前田健雄)

今年も暑い夏になりました!最近は、地球環境と健康のためにと、なるべく自転車に乗るようにしていますが・・・、実に暑いです!『心頭を滅却すれば火もまた涼し』と言われたのは、禅宗のお坊さんだと伝えられていますが、真宗ではどうでしょうか・・・?「暑いものは暑い!」と言うのでしょうか?

「ミーン♪ミンミンミーン♪」と、日本の夏の暑さを助長するかのように、やかましく聞こえる蝉の鳴き声ですが、常夏の島ハワイには、日本の夏のようには、蝉の鳴き声は聞こえません。四季があってこそ、蝉は地中で成長することができるということでしょうか。蝉が地上で生活できるのはわずかな間ですが、実は、地中に居る間もずっと蝉は生き続けているのです。何年もの間、地中で成長を続け、四季を生きて、そして地上に出ると小さな身体全身で大きな声で鳴き続け、いのちを終えてゆきます。

さて、私は母親のお腹から産まれ、育まれて、今日も人間として生活しています。毎日朝晩と、仏さまに手をあわせてはおりますが、蓮如上人の御文、「ねてもさめても、いのちのあらんかぎりは、称名念仏すべきものなり」(御文五帖一通)と声に出して読む度に、「あなたは、ねてもさめても念仏称えてますか?大きな声で、全身で念仏称えてますか?」と、まさにねてもさめても全身で力一杯鳴き続けている蝉から問いかけられているような気がします。

そう思うと、暑苦しい、やかましい、と聞こえていた蝉の鳴き声が、「な~ま~だ~ぶ~」と、力いっぱい大きな声で念仏称えている尊い声に聞こえてきます。横たわっている蝉の死骸が、力いっぱいいのちを生ききった尊い姿に見えてきます。「蝉の一生は短くて儚(はかな)い」と世間では思われがちですが、本当にそうでしょうか?


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