学ぶ・考える

法話:「小さな存在、大きな喜び」

「小さな存在、大きな喜び」
一心寺 釋 健雄(前田健雄)

まんまるお月さまを子どもと眺めていた時でした。
 「お父さん、月と地球はどっちが大きいの?」
 「地球の方が大きいんだよ」
 「じゃぁ太陽は?」
 「太陽の方が大きいね」
 「どのくらい大きいの?」
 「たしかぁ…」もう自分の記憶が怪しくなってきたので、おもむろにスマートフォンを取り出して調べ始めました。

地球の直径は約1万2700km。太陽の直径は約139万2000kmで、地球の約109倍の大きさなのだそうです。いったいどのくらいの大きさなのか、見当もつきません…。しかし宇宙には、さらに大きな星があるそうです。それはなんと、太陽の直径の1900倍もの大きさの星です。驚きました。

そんな大きな星と比べたら、地球は豆粒のような小さな点にすぎません。その地球にいる「私」は、点にも豆粒にもならないほどの大きさしかないんですね…。なんだか、日頃、大きな事だと思い込んで不安に思い心配している事も、腹を立てている事も、私自身の存在もとても小さなことに思えてきました。

それと同時に、小さいけれども生まれてきた。そして私たちは、こうして出会うことができたという事実に大きな喜びを感じました。思わず「お父さん、いつも小さい事で怒って、すまんなぁ…」と子どもに謝りました。

 

本当に大事なことを喜べず、小さなことに執着してしまっていたなぁ…、もったいないなぁ…、とその瞬間は思うのですが、時が過ぎればまた元の自分に逆戻り…。なかなか喜びのままには生きられません。でも、だからこそ仏法を聴き続け、南無阿弥陀仏という仏さまの広く大きな世界に触れさせていただくことが大切なのでしょう。


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